2017年4月4日火曜日

ロンドン ブリック

ヒースロー空港着陸前、空港が混んでるとアナウンスが入り、街の上をグルグル回っていた、窓に張り付き眼下の街をずっと見ていたんだけど、新興住宅地とか、高層のマンションとかはほとんど見えず、緑と一体となった何百年と変わっていない感じの古風な街並みばかりが見えた。
空港から電車で市街地に向かう。
空から見ていた古風な住宅は全て煉瓦造りだ。その他が見当たらない。
市街地に出る。少々はガラスの建物など現代的なモノがあるが、ビルもたいていが煉瓦造りだ。
シティーとか経済や政治の街は、古典的な格調高い石造りの建築が多い。
超高層もあるが数本だけ。
兎に角、煉瓦造りの古いビルが圧倒的に多く、高さは三.四.五階建てくらい。
東京を現実として日々見ている目には、全く理解出来ない容積率の低さだ。
公園も広いし多い、、。
コレで、ロンドンという大都市は成り立っているのか、、?
東京人はそんなコト思ってしまうんだけど心配無用、世界中の人がワンサと集まり活気ありまくり、、。

911後、アメリカがイスラムの人たちをいじめ、大量のマネーがロンドンに流れた。それ以後ロンドンはバブルだと聞いてた。
トランプになり更なるマネーがアメリカを離れ、ロンドンにやってきただろうと思う。
なのにEU離脱、チャンスを棒に振ったようにも見えるけど、これ以上の都市膨張をロンドンの人たちは嫌ったのだとも思った。数人にその考えを喋ったら、まーそんな感じもあるねーと。
少し前、ある著名な建築家が公園潰して超高層沢山建てれば良いんじゃないかと発言し、非難轟々だったらしい。

一時の経済バブルに浮かれて、守り続けてきた建築や街を破壊したりはしない。
暮らしを守る意志のレベルがすごい。

そして、煉瓦ラブハンパ無い。
カッコいいとか悪いとか、そんなのもあんまり関係無い様子。
ダサい煉瓦のビルでも補修を続ける。

逆に、高い建築的理想を実現し、とても見所の多い鉄筋コンクリート造りのバービカン(ココで今、蟻鱒鳶ル展示中)でも一般的には、汚い!と言われ不人気だそうだ。
70年代に、鉄筋コンクリートの低所得者用住宅が沢山作られたが、それも今は、ドンドン壊されているそうだ。
何でも良いわけでは無い、受け入れられなければ、それまで。
ロンドンでは、コンクリートの打ち放しもモダニズムも、素朴な煉瓦造りに負けている。

煉瓦ラブは何だろう。

自分たちが生きる大地をこね、焼き固め、大量な煉瓦を重ねながら、50センチほどの分厚い壁を築く。それは間違いなくシェルターで、沢山の戦争や災害から自分たちの暮らしを何百年と守り続けてくれている、感謝して当たり前だ。
見ていても飽きない、土の色や焼き方で、様々な色や風合いが出ている。
新しいのとかまだまだで、古いモノほど味わい深くなっていく。
何人かの建築家と話したけど、兎に角、新しいモノを建てるチャンスなどほとんど無いらしい。
古い建物の改修がほとんど、それもわずかな変更すら許してもらえない、、と。

でも、煉瓦造りの建築を越えれるくらい素晴らしいのじゃなきゃ作らせないよというハードルの高さが、ロンドンの現代建築のレベルの高さにも繋がっていると思う。
ロンドンには世界一とも言われる建築学校AAスクールがある、レムコールハース、ザハハディド、世界のトップ建築家を沢山育てている。
そんな学校が、フツーの街中にある褒めるポイントなど別に無いフツーの煉瓦造りのビルの一部だった。「下手な建築作るくらいなら、その土地に根差した伝統的な建築で十分でしょ。」AAスクールは先ず、そう語っている、スゴイ。

あと一つ、
少し前友人から連絡があった「煉瓦がいっぱい余ってるけど、岡さんいらない」と、僕は1トントラックをレンタルしてもらい受けに行った。でも、ちょっと乗せただけで、もう車が悲鳴を上げた、重さを計算したらオーバーしてる、もう忘れたけど、比重2として、1メートル✖️1メートル✖️50センチで、1トンだ、、ちょっとでこの重さ!
50センチくらい壁圧のある、煉瓦造りのビルを一つ作るのに途方もない労力だ!!
車が無い時代なら馬パワー全開しかない!どんなつまらない建物でも気が遠くなるような努力をしている!
壊せるはず無いじゃないか!!

*写真はノッティングヒルの空き家の庭先で拾った煉瓦*




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