2015年4月20日月曜日

亀風呂

亀風呂は、とても小さな建築。
作ったのは、だんご三兄弟の流行ってた頃だから1999年か、。
いろいろダメで絶望してて、建築家になる事など、ほぼほぼ諦めててグッタリしてた頃。
長い事、同じ師匠の下で稽古を積み、大道芸など時々一緒にやっていた友人の亀から「風呂作ってくれ」と依頼があった。
金は?
「10万」
うん、だったら土日で作るから、数ヶ月かかるよ。
で、最初に条件全部言って、ちゃんと守るから、
でも、その後は、注文つけないで、オレ凄い考えながら作りたいんだ、、。
「良いよ」
そんな約束でスタートした。

僕は、あやふやなやり方でなくキッチリと答えを出すように設計と施工を進めた。
釘でとめるべきか、ビスでとめるべきか、接着剤か、、?
そんな事を、一週間考え続けるような作り方だった。
岡啓輔の全力でこの小さな建築を作ってみたい。そんな想いだった。


二階建てで、一階は沸かすのを置いてるだけ。二階が浴室。
浴室に窓は無く、透明のポリカの屋根に車がついてて、ガラガラと移動し完全な露天にもなる。
屋根を少し開け、梯子でトントンと下り、風呂に入る。
屋根の上のミカンの木に照明がブラ下がっていてポリカ越しに浴室をゆらゆら照らす。

作り終えとてもうれしかった、そしてハッキリとわかった事があった。
図面描いて考えてるだけじゃ、決して考えつかない事がある。
自らの手で作りながら考える事。
ドン詰まり、行き場の無かった僕にとって、それはやっと発見した、広々とした場所だった。
この芽生えはじめた考えを、何年間か発酵させ「セルフビルドで即興的に作る」というアイデアに秘かに高めていった。
そして、石山修武さんの前で、アワアワとプレゼンしてしまったのだ。

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